動脈硬化の原因物質から
将来の脳梗塞・心筋梗塞の発症リスクを判定
脳梗塞・心筋梗塞について
脳梗塞・心筋梗塞は、前兆がなく発症し命を落とすことも少なくない疾患です。現在は、医療の進歩によって命を取り留める確率は以前よりも高くなってきているものの、日本人の死因を疾患別にみると脳血管疾患、心疾患を原因として命を落とす方は依然多く、その合計数では死因1位の悪性新生物(がん)と同水準にあります。 (*1)
また、突然死の死因として最も多いのも心疾患であり、死因の約6割を占めるともいわれています。(*2)
患者数も高齢化とともに増加の一途を辿っており、総患者数は国内で約200万人以上とも推計されております。(*3) さらに、脳梗塞などを含む脳血管疾患についてはその後遺症も重く、寝たきりの原因の約4割を占めるとされています。また、一度発症すると脳梗塞は再発もしやすく、一度脳梗塞になるとおよそ5年内で約3割、10年以内では約5割の方が再発するといった報告もされています。(*4) (*1)厚生労働省平成29年度「人口動態統計(確定数)の概況」より
(*2)厚生労働省平成29年患者調査より
(*3)厚生労働省平成28年度国民生活基礎調査より
(*4)2005年 久山町研究 研究報告より https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15716529)
動脈硬化のメカニズム
それでは、なぜ脳梗塞や心筋梗塞は起こるのでしょうか。それには“動脈硬化”を知ることが重要になってきます。動脈硬化とは読んで字のごとく、「動脈」と呼ばれる血管が硬くなってしまうことです。動脈硬化はLDLコレステロールに代表される脂質が血管の内側に取り込まれることで進行していきます。血管の内側に脂質が溜まっていくと、“プラーク”と呼ばれる血管のコブが形成されます。これにより血管が狭くなり、血液の通りも悪くなっていきます。そして、このプラークが破れると血栓という血の塊ができ、完全に血管を塞いでしまいます。これが脳の血管で起きると「脳梗塞」、心臓の血管で起こると「心筋梗塞」となります。