下肢静脈瘤ではありませんか?
下肢静脈瘤ってどんなもの?
足の静脈の逆流防止弁が壊れて正常に機能しなくなることで血液の逆流が起こり、逆流した血液により血管が徐々に拡張されコブ(瘤)のようにふくらんだ状態になり外見上でもわかる病気です。推定患者数は1千万人ともいわれ、身近に起きやすい病気の一つです。
どうして下肢静脈瘤になるの?
下肢静脈瘤は足の血管(静脈)の病気です。足の静脈は、筋肉と筋肉の間にある深部静脈と筋肉と皮膚の間にある表在静脈に区別されます(図1)。
血液が逆流する
表在静脈は血液を深部静脈に運び、深部静脈は血液を心臓に送る働きがあります。静脈の血管内には、重力に逆い心臓に血液を送るため、血液の逆流を防止するための”ハ”の字型の弁(逆流防止弁)があり、立っている時に血液が足の方に逆流するのを防いでいます。ところが、何らかの理由でこの弁が壊れて血液が逆流することで、血管は徐々に徐々に拡張します。この状態が「下肢静脈瘤」です。一度壊れた逆流防止弁は自然に治ることはありません。
逆流の説明ビデオ
どんな人がかかりやすいの?
下肢静脈瘤は女性に多く、歳を重ねるほど増えていくと言われています。
- ●長時間の立ち仕事
- 美容師・調理師・販売員・教師・看護師など、同じ姿勢で立っている時間が長い仕事に従事している方は下肢静脈瘤が発症しやすく、進行もしやすい傾向にあります。
- ●妊娠・出産、肥満
- 妊娠中や出産後に下肢静脈瘤ができる女性も多く、妊娠・出産の回数が増えるほど下肢静脈瘤になる割合が高くなります。
- ●遺伝的要因
- 遺伝的体質により下肢静脈瘤になりやすい方もいます。
下肢静脈瘤の種類
下肢静脈瘤は静脈が皮膚表面にコブ(瘤)のように浮き出てくるタイプと赤い血管がクモの巣のように見えるタイプがあります。専門的には以下の4種類に分類されます。
伏在静脈瘤
足の表面近くにある静脈のうち本幹となる太い血管が「伏在静脈」です。コブのように拡張した状態を伏在静脈瘤といいます。足の付け根から太もも・ひざの裏に多く見られる太い血管がボコボコと蛇行したように浮き出て重症化すると手術が必要です。
側枝静脈瘤
伏在静脈より枝分かれした、さらに先の部分が拡張したもので比較的、膝から下(ふくらはぎ)にみられ、伏在静脈瘤よりもやや細い血管が浮き出た状態をいいます。
網目状静脈瘤
直径2~3ミリの細い静脈が拡張し青色の網目状の血管が皮膚の上からはっきり見える静脈瘤で、とくに膝裏に出やすい性質があります。
クモの巣状静脈瘤
皮膚の表面(表皮)の下の径0.1~1mmの極めて細い血管が拡張したものです。赤紫色の血管がまるでクモの巣のように見えるのが特徴です。
下肢静脈瘤の症状
1.足がだるい、疲れる
2.足がむくむ
3.足が痛い
4.足がつる
5.足がほてる、ピリピリする
6.足がかゆい